世界経済は、欧米やアジアにおける景気の下振れリスクが懸念されるものの、引き続き堅調に推移するものと見込まれます。わが国経済は、震災復興に向けた動きが期待される一方で、当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状況が続く見込みであり、企業・家計マインドの悪化も懸念されることから、厳しい状況が続くと思われます。
情報通信市場においても、当面、電力供給の制約による影響やサプライチェーンにおける障害などが懸念されます。また、ブロードバンド・ユビキタス化が大きく進展し、同時にグローバル化が急速に進むなか、クラウド化の拡大の動きや多様な事業者の参入による新たなビジネスモデルの展開など、激しい競争が続くものと考えられます。
<1>中期経営戦略「サービス創造グループを目指して」に基づく事業展開
NTTグループは、平成20年5月に策定した中期経営戦略「サービス創造グループを目指して」に基づき、お客様志向で、フルIPネットワークの基盤を活用したブロードバンド・ユビキタスサービスの創造・展開に取り組んでまいります。これにより、IP系やソリューション・新分野を軸とする事業構造改革を推進し、当連結会計年度において連結売上高の65%を占めているIP系・ソリューションなどの割合をさらに引き上げることを目指してまいります。具体的には、NTTグループを取り巻く事業環境を踏まえ、以下の課題に取り組んでまいります。
《法人・公共向けICTサービス・ソリューションの充実》
法人のお客様の品質や価格に対するニーズの多様化に対応するため、ネットワークに加え、データセンタやアプリケーションなどにおいても、信頼性の高いメニューから廉価版メニューまでのラインナップを充実し、「BizXaaS」、「BizCITY」などの展開を積極的に進めてまいります。
行政、教育、医療の利便性の向上、環境・少子高齢化などの社会的課題へ対応するため、ICT利活用を推進してまいります。例えば、教育分野でのICT利活用の取り組みとして、クラウドを活用したフィールドトライアル「教育スクウェア×ICT」を一部の自治体と連携して実施してまいります。
東日本大震災を踏まえ、企業や自治体によるBCP(事業継続計画)の見直しにも対応し得る、情報システムのクラウド化やシンクライアントの導入(例:「Bizデスクトップ」)、水道・河川・橋梁などの公共インフラの光ファイバや無線による監視など、ICTを利活用したサービスの創造・提案に取り組んでまいります。
《コンシューマサービスの充実》
LTEサービス「Xi」の普及促進による更なるブロードバンド化や二段階定額サービス「フレッツ光ライト」など使い易い料金の導入によるブロードバンドユーザの裾野拡大を図るとともに、固定・無線ブロードバンドを活用したICTサービスの更なる充実に取り組んでまいります。
スマートフォンに加え、自動車や家電など、無線ブロードバンドなどでネットワークに接続可能なデバイスが増加しています。これらのネットワーク化を通じ、NTTグループの持つコンテンツ配信や認証・決済機能などの活用、パートナー企業との協業などによるアプリケーションの充実、さらにはホームICTの推進など、様々な分野でICTサービスの拡大に取り組んでまいります。
SNSやブログなどのソーシャルサービスの利用が拡大しており、NTTグループとしても、スマートフォンなどの多様な端末とブロードバンドを活用し、ソーシャル化への対応を強化してまいります。
《グローバル事業の推進体制の強化とサービスの充実》
国内と海外の継ぎ目のない高品質なサービス提供へのニーズに応え、法人向けSI・NI事業、コンシューマ向けモバイル事業を2本柱にグローバル展開を強化してまいります。
法人向けSI・NI事業では、買収したDimension Data Holdings plcやKeane International, Inc.を含めたグループ各社の強みを融合して、トータルのサービスラインナップとエリアカバレッジを充実させることによって事業シナジーを実現してまいります。また、グローバル事業戦略や人事の両面においてマネジメントをさらに強化し、グローバル事業の成長を加速させてまいります。
コンシューマ向けモバイル事業については、アジアを中心とした新興国市場においては現地キャリアと協業し、3Gサービスの構築支援と付加価値サービスの導入・拡大を並行して推進し、先進国市場においてはネットワークの高速化やデバイス多様化に対応した先進的な付加価値サービスを展開してまいります。
《環境問題への対応》
世界共通の課題である環境問題については、以下の3つのアクションを掲げ、環境負荷の軽減に取り組んでまいります。
・「Green of ICT」
データセンタや通信設備などの省電力化、自然エネルギー発電の推進など、ICT自体における環境負荷の軽減に取り組みます。
・「Green by ICT」
テレワーク、テレビ会議など、ICTの利用促進によって社会全体の環境負荷の軽減に取り組みます。
・「Green with Team NTT」
NTTグループ社員一人ひとりの活動で、職場、家庭および地域における環境負荷の軽減に取り組みます。
<2>東日本大震災復旧への取り組みおよび災害対策について
通信ビルの電源・装置類の新設や更改、中継伝送路の修理や張り替え、携帯電話基地局1局で複数局のエリアを カバーする大ゾーン方式をはじめとしたエリア回復などを図ることにより、一部対応が困難なエリアを除き、4月末までに通信ビル・基地局をほぼ復旧しました。なお、家屋などの被害が甚大なエリアについては、道路など他インフラの回復に歩調を合わせて復旧を目指してまいります。
今回の震災では、超巨大地震や津波、また広域かつ長時間の停電や計画停電など、通信設備にこれまでにない影響を受けました。また、携帯電話やインターネットの進展に伴い様々な情報連絡手段が活用されるようになりました。NTTグループは通信サービスの社会的重要性を再認識し、これらの観点を踏まえ、政府・自治体とも連携しながら、今後の災害対策に向けた以下の検討を進めてまいります。
《災害に強いネットワーク作りと早期復旧手段の整備》
・重要機能の地域分散や多ルート化などの推進による広域災害への備え
・広域、長期間の停電に対する耐力の向上など
《地域救済拠点の早期通信確保》
・衛星、無線の活用推進など
《被災後の情報流通手段の確保》
・被災直後の安否確認などのニーズへの対応強化(輻そうへの対策)
・お客様のニーズが音声からメール、インターネットと多様化していることへの対応など
《災害時や復興時に役立つサービス・ソリューションの提供》
・自治体支援、医療支援、学校支援など