(報道発表資料)
2012年1月17日
日本電信電話株式会社
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦 惺、以下NTT)は、60GHz帯※1に割り当てられた4チャネル※2すべてに対応した世界最小の小型無線装置(図1)の開発に成功しました。今回開発した小型無線装置は、非接触で60GHz帯の1チャネルあたり最大3.8Gbit/sの高速伝送を可能とします。また、60GHz帯の4チャネルを同時に使用した場合には、15Gbit/s程度の高速伝送が可能となります。
本成果は、将来的に情報端末に搭載できる大きさにまで小型無線装置を小型化出来る可能性を示しており、例えば駅やコンビニエンスストアなどに設置されたキオスク装置からスマートフォン等にギガバイト級の大容量コンテンツを高速ダウンロードするための無線装置技術として期待されるものです。
ブロードバンドネットワークの普及拡大に伴い、無線通信を利用した高速データ伝送の検討が世界各国で進んでいます。特に、スマートフォン等の普及により、屋内外を問わず大容量コンテンツのアップロードやダウンロードを非接触の近距離無線で行いたいというニーズがあり、これを実現する為に、高速データ伝送が可能な小型の無線装置の開発が求められています。NTTでは、ギガバイト級の大容量コンテンツを瞬時にダウンロード可能な非接触高速転送システムの実現を目指し、無線装置の小型化・高速化に取り組んできました。
また、2011年9月に電波法が改正されたことで、60GHz帯に割り当てられている4つのチャネルすべてが免許不要で利用可能となり、無線による高速データ伝送の環境が整いました。(図2 )
NTTでは、60GHz帯の4チャネルすべてに対応可能な世界最小の小型無線装置を開発しました。
広帯域な平面アンテナとMMIC※3を集積化した小型無線モジュール(図3 )を使用することで無線装置の小型化を実現しました。また、60GHz帯の4チャネルのうち2チャネルのみに対応していた従来の無線装置に対し、57〜66GHzをフルカバーした小型無線モジュールにより4チャネルすべてに対応することが可能となりました。
また、高速ファイル転送の実現には、無線の伝送速度だけではなく、ストレージやメモリの性能を考慮する必要がある為、NTTでは高速バスとストレージを備えた市販のPCを用いて、ギガバイト級の映像コンテンツの読み込み・書き込みの実験を行い、リアルタイムに高速ファイル転送が可能であることを確認しました。
将来的には、駅等に設置されているキオスク端末・家庭内のDVDレコーダ等から、ギガバイト級の大容量コンテンツを高速転送可能な非接触高速転送システムを実現する技術となります。
小型無線モジュールは、広帯域な平面アンテナとMMICをLTCC多層基板に集積化することにより実現しました。
アンテナは、多層LTCC※4基板にリング状の金属を開口面に向け直径を大きくしながら配置し擬似的に反射鏡面を形成することにより、サイズ約12×12×1(mm)の小型化かつ平面化を実現しました。また、放射器に無給電素子※5を追加することにより、57〜66GHzの広帯域化、アンテナ利得※610dBi以上の高利得化を実現しました。
60GHz帯フルカバーの鍵となる周波数変換MMICは、57〜66GHzの広帯域化を実現するためには、MMICの構成素子である移相器の広帯域化が重要になります。移相器については広帯域化のために多段構成とし、高い結合度が必要な中心段に容量素子を用い広帯域化を図りました。その結果、比帯域※715%以上の広帯域化を実現し、60GHz帯の4チャネルすべてに対応することが可能となりました。
MMICの実装には、ICの裏面に配線加工がされたMMICを用い、位置精度の高い実装を実現するとともに、MMICと多層LTCC基板との接続部の損失低減を図りました。
60GHz帯で装置化する場合には、基板で扱う信号の周波数が高くなるため、素子や配線間の結合が高くなり、間隔が狭いと信号漏えいが発生します。そこで使用する基板の多層化および素子配置の最適化により、素子間や配線間の結合を低く抑え、高集積化を実現しました。
コンテンツサーバとクライアント端末間で、NTTが開発した小型無線装置を用いて非接触高速転送システムの環境を構築し、ギガバイト級の大容量コンテンツ転送の検証実験を行いました(図4 )。今回の実験では60GHz帯の1チャネルを使用し、HD品質の高精細映像を用いたリアルタイムでの読み込み・書き込み速度を測定しました。その結果、書き込み速度が最大2.5Gbit/sであることを確認し、ギガバイト級のダウンロードを高速で実現出来ることを示しました。
情報端末への搭載を将来的に実現することを目指し、より一層の小型化を進めて参ります。また、ギガバイト級の大容量コンテンツの非接触高速転送の実用化に向けて、キオスク端末・DVDレコーダ・ホームゲートウェイ等への小型無線装置の搭載を展開していきます。(図5 )
先端技術総合研究所 広報担当
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