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NTT持株会社ニュースリリース

(報道発表資料)

2012年7月9日

脳科学研究における聴覚と身体の関わりを世界で初めて解明
〜身体動作に伴う音を操作することで脳が腕の長さを誤って認識する錯覚を発見〜

 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫、以下 NTT)は、英国ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校、オーストリア・グラーツ大学と共同で実験を行い、聴覚が腕の長さ等の身体形状の認識に関わっていることを世界で初めて明らかにしました。
 本発見は、脳科学研究において「聴覚と身体」に関する基礎研究が大きく進展する画期的な発見であり、医療分野などへの応用も期待されています。
 本成果は、2012年7月10日(英国時間)に英国科学雑誌「Current Biology」に掲載されます。

1.研究の背景・意義

 NTTコミュニケーション科学基礎研究所(以下、NTTの研究所)では、人と人とのコミュニケーションに関わる人間の感覚・運動・情動のメカニズムを科学的に解明し、「こころまで伝わる」情報通信技術の設計原理を提案するための研究を行っています。具体的には、人間の五感や知覚の仕組み、運動の仕組み、情動の働きなど、脳や体の中における情報処理に関する研究を進めています。なかでも、人間と環境の関わりを理解するうえで、身体の感覚がどのように形成・維持されているのかを理解することが不可欠なテーマとなっています。

2. 今回の成果(図1 

 今回、NTTの研究所では、長年にわたり行ってきた豊富な研究をもとに、人間は、床を叩く時に発生する音が実際よりも遠くから聴こえると、腕が長く伸びたように感じてしまう新しい錯覚を発見しました。
 従来までは、身体形状の認識は触覚・自己受容感覚(以下、体性感覚)および視覚を通じて実現されると考えられており、聴覚の役割はほとんど無視されていました。本発見は、人間が自分の身体の形状を認識する際に聴覚が関わっていることを世界で初めて明らかにするもので、聴覚と身体との関係を紐解く第一歩となる画期的な発見です。

3.実験の概要及び結果

場所

NTTコミュニケーション科学基礎研究所

http://www.kecl.ntt.co.jp/rps/index.html 

対象者

20歳から35歳までの健常者 16名

概要(図2 

  • スピーカを3メートルの範囲で6箇所に設置する。
  • 実験参加者には目隠しをする。
  • 右腕で床の6箇所を10回ずつ、正面から右方向へ順番に叩く。(合計60回、約1分)
  • 床を叩く「音」をスピーカから出し、その状態で1分間経験(順応)してもらう。
  • 右腕と左腕に2点触覚刺激を行い、2点の距離について左右のどちらが長いか答えてもらう。
  • 順応の前後で24回試行し、「右が長い」と答えた割合を比較する。
  • スピーカ位置、音の提示タイミングを変更し、下記の条件で同様に実験する。
    • 等距離条件(叩く場所と同じ距離から音を提示する)
    • 距離2倍条件(叩く場所と2倍の距離から音を提示する)
    • 距離4倍条件(叩く場所と4倍の距離から音を提示する)
    • 非同期条件(叩く動作と同期せず音を提示する)

結果(図3 

  • 距離2倍条件では、順応後に右腕で触った物体の長さが、順応前と比較し長く感じられると16名中12名が申告し、「右の方が長い」と答えた割合が統計上有意なレベルで上昇。
  • 等距離条件、距離4倍条件、非同期条件では有意な差はない。

 上記の結果より、実際に叩いた場所よりも2倍遠い位置から音が鳴る状況に慣れ、脳が腕の長さを誤って、より長いと錯覚した事が明らかになりました。

4.今後の展開

 聴覚と体性感覚からの情報が身体に与えるメカニズムを明らかにするとともに、医療分野においてリハビリテーションへの応用の可能性を探ります。例えば、音を利用した身体の正確な認識、運動が困難な方へのリハビリテーション支援システム等の応用分野への検討を進めて参ります。

別紙・参考資料
図1 今回の成果 
図2 実験の概要 
図3 実験結果のポイント 

本件に関するお問い合わせ先

日本電信電話株式会社
先端技術総合研究所

広報担当
a-info@lab.ntt.co.jp
TEL 046-240-5157

ニュースリリースに記載している情報は、発表日時点のものです。現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。

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