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NTT持株会社ニュースリリース

2018年4月19日

体感品質モデルに基づいた動画配信技術の実証実験に成功
〜目標QoEの設定で体感品質向上や通信量削減などの制御が可能に〜

 日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下 NTT)は、動画配信において、体感品質(QoE)*1に基づく動画品質制御技術を確立し、目標とするQoEを保ちながら通信量を削減する技術の実証実験に成功しました。
 本技術では、動画の画質や再生停止時間などをもとに独自のアルゴリズムにより配信中の動画の体感品質を評価した上で、ユーザの環境を考慮した未来の通信品質予測を行い、あらかじめ設定した目標とするQoEを達成するよう動画配信時のビットレートを最適に制御します。この技術により、動画視聴のQoEを最大化して配信すること、十分なQoEを保ちながら通信量を削減しつつ配信することが可能となります。
 今回、株式会社NTTぷらら(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:板東浩二、以下 ぷらら)の動画配信サービス環境と動画を視聴する実験用スマートフォンアプリに本制御技術を適用し、移動中やカフェ店内など混雑のレベルを変えながら実験を行いました。混雑している環境でもユーザがストレスの少ないスムーズな動画視聴ができること、ユーザにとって必要十分な動画品質で配信を行うことにより、効率的な動画配信サービスの提供が可能であることを実証実験により確認できました。
 本技術はさまざまな動画配信サービスや、CDNサービスなどへも適用可能な技術となっており、配信サーバまたはスマートフォンアプリへの軽微な修正で組み込むことが可能です。今後、本実証実験の成果をもとに、各事業者と連携して技術のさらなる効用の拡大をめざすとともに、動画サービス利用者のユーザ視聴体験向上やサービス事業者のネットワーク利用効率化とコスト削減に貢献していきます。

図1 体感品質(QoE)と提案技術の概要
図1 体感品質(QoE)と提案技術の概要

背景

 モバイル環境での動画視聴時にユーザが抱える課題として、視聴品質の悪化とパケット料金の負担増が挙げられます。現時点では視聴品質をサービス事業者が適切に制御するのが難しく、十分な視聴品質を実現できずストレスを抱えるユーザがいる一方で、必要以上の視聴品質により通信量が増大し、負担となるユーザも存在すると想定されます。
 この2つの課題の解決に向け、NTTは、「動画品質制御技術」として、QoEをあらかじめ設定された目標値に近づけながら、なるべく通信量を少なくするビットレートを選択・制御する技術を確立しました。
 本技術では、ユーザが視聴する環境でQoEを最大化することもできますが、QoE目標値を中程度に設定することで、十分なQoEを確保しながら、発生トラフィックを最小化し通信量を抑えるという制御も可能となります。
 今回、本制御技術を、ぷららの提供するスマートフォン向け動画配信サービス「ひかりTV」のスマートフォン向けアプリ「ひかりTVどこでも」に実験的に適用し、試験ユーザのQoEを制御する実験を行いました。

研究内容とその効果

 動画視聴ではビットレートと再生停止時間がQoEの主な決定要素となっています。動画視聴における平均ビットレートが高くなるほどQoEは向上し、また再生停止時間が長くなるほどQoEは低下する関係にあります。
 NTTではこの動画視聴時のQoEを視聴ビットレートや再生停止時間などの情報から推定するアルゴリズムを確立しています。このQoE推定アルゴリズムを用いて、目標とするQoEを満たすように動画配信を制御する技術を確立し、実証実験を行いました。
 通常の動画配信では、ユーザの利用する動画プレーヤーが映像配信事業者のサーバに対して、視聴したい動画とその時のビットレート(画質)を指定して映像データをリクエストし、受信したデータを再生します。本実験システムでは、動画プレーヤーは映像データを受信する前にQoE制御エンジンに対して問い合わせを行い、選択すべきビットレート情報を取得し、それに従って映像データの取得を行います。この時、それまでに受信した映像データのビットレートや、視聴中に発生した再生停止時間などの情報を動画プレーヤーからQoE制御エンジンに対して通知し、QoE制御エンジンではそれらの情報とあらかじめ設定されたQoE目標値を用いて、次に受信するべき最適なビットレートを算出します。この流れを繰り返すことにより、最適なビットレートの選択を可能にし、設定されたQoE目標値での動画視聴を達成することができます。

本技術による効果と実験結果

 本実験では、以下2種類の配信設定を想定した実験を行い、効果を確認しました。なお、実験では300秒の動画を繰り返し視聴し、測定を行いました。

(1)最大QoEを目標とする場合

図2 QoEを最大値とする場合
図2 QoEを最大値とする場合

 QoEの最大値である5.0に目標QoEを設定した場合、ユーザの視聴環境内でできる限りQoEを高めるような制御を行います。これにより、従来技術では画質の低下や、再生停止によりQoEが低下していた状況から、画質の向上や停止時間の削減により高いQoEでの配信が実現されます。
 本実験では、以下の効果を確認することができました。QoEの主要因となる視聴中のビットレート(画質)と再生停止時間について分析を行った結果、平均ビットレート(画質)が、2.0Mbpsから3.8Mbpsへ90%の向上を達成し、再生停止時間が12.4秒から9.0秒へ38%削減でき、またQoE値として6%の増加を達成しました。
 通常、ビットレートを向上させると、データ転送が間に合わずに動画の再生停止時間は伸びる関係にあります。しかし、提案技術は適切にユーザ環境における通信品質を予測し、QoEを最大化する制御を行うことにより、再生停止の発生を回避しながらビットレートを向上できたのだと考えられます。

(2)目標とするQoEを中程度(3.0〜4.0等)に設定する場合

図3 中程度のQoEを目標値とした場合
図3 中程度のQoEを目標値とした場合

 QoE目標値を中程度(3.0〜4.0等)に設定する場合、最高の画質で動画配信されるわけではないものの、必要十分なQoEでの配信が実現できます。これにより、従来技術でQoEが劣悪な視聴はQoEが十分なレベルまで向上し、逆に画質が必要以上であり、通信量がかさんでいた視聴は、必要十分なレベルまでQoEを落とすことで、通信量を低下させることが可能となります。
 実験では、平均QoEが目標QoEを満たす状況を実現しながら、平均ビットレートすなわち通信量を1.85Mbpsから1.24Mbpsへ33%削減し、同時に平均再生停止時間を20.5秒から6.4秒へ68%削減することができました。
 このような結果は、QoE目標値を中程度の値に設定することで、過剰な品質で配信される視聴を減らすことができたことと、ユーザ環境における通信品質を適切に予測し再生停止の発生を回避することで、より通信量を削減する最適な映像配信が実現できたことによる効果だと考えられます。
 以上の結果により、2つの配信設定それぞれにおいて、目標とした配信技術の効果を確認できました。実際のサービスでは、ユーザやサービス内容、コンテンツなどに応じたQoE目標値を設定・調整することで、動画配信サービスのユーザエクスペリエンス向上が期待できます。

今後の展開

 今回の実験では、一部の試験ユーザのみでの実験となりましたが、今後は対象ユーザの拡大など、サービス展開に向けてさらなる検討を進めていきます。本技術をさまざまなサービスへ展開することにより、動画サービス利用者のユーザ視聴体験向上やサービス事業者のネットワーク利用効率化とコスト削減につなげてまいります。

用語解説

*1QoE
Quality of Experienceの略で、ユーザがサービスを利用した際に感じる体感品質を指します。QoEは1.0〜5.0の範囲で表される体感品質の指標であり、動画視聴中の平均ビットレートや動画の再生停止時間などを用いて算出されます。

【参考別紙】

<参考1:QoE制御エンジンの詳細>

 QoE制御エンジンでは、まずユーザの動画プレーヤーから受信した現在までの選択済みビットレートや再生停止時間などの情報から、現在までのQoEを算出します。また、品質DBに蓄積された過去の通信品質情報を基に、ユーザの通信環境における今後の通信品質(スループット)を予測します。これらの値を用いて最適化計算を行い、一定時間先の未来においてあらかじめ設定された目標QoEを達成するためのビットレート列を算出しています。

図4 QoE制御エンジンの内部動作
図4 QoE制御エンジンの内部動作

<参考2:実験結果(グラフ)>

(1)最大QoEを目標とした場合の効果

(2)中程度のQoEを目標値とした場合の効果

本件に関するお問い合わせ先

NTT情報ネットワーク総合研究所

企画部 広報担当
TEL:0422-59-3663
Email:inlg-pr-pb-ml@hco.ntt.co.jp

ニュースリリースに記載している情報は、発表日時点のものです。現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。

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