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音声品質評価法

4.音声品質の客観評価法

4.3.パケットレイヤモデル

サービス提供中のQoEの監視・管理(インサービス品質管理)では,多くのユーザの通信を監視する必要があることから,音声のメディア信号を処理することが困難です.そこで,音声メディア信号が含まれているペイロード部分以外のパケットヘッダ情報を用いて品質を推定するモデルが注目されています。これをパケットレイヤモデルと呼びます。
IP電話サービスを対象とした勧告P.564は2006年7月に制定されました。勧告P.564は当初P.VTQ(Voice Transmission Quality)と呼ばれ、具体的なアルゴリズムを規定することを目指していましたが、モデルの一本化を達成することができず、モデルの性能要求条件とその検証法のみを記述した「フレームワーク勧告」となりました。つまり,勧告P.564に示される方法で性能を評価し、一定の品質推定精度が確認されると、そのモデルは「勧告P.564準拠」とされます。
P.564は、パケット損失やその損失パターン、さらには遅延揺らぎといった中間品質パラメータを推定する過程と、このパラメータを用いて受聴MOSを推定するアルゴリズムからなります。中間品質パラメータは、RTP*1ヘッダやRTCP*2情報から算出されます。この中間パラメータは、IETF*3で標準化されているRTCP-XR*4に規定される品質パラメータのサブセットとなっています。そのため、RTCP-XRが実装されていれば、端末は受聴MOSを推定するのに必要な中間パラメータを得ることができます。
*1 RTP (Real-Time Transport Protocol): 音声や映像などのメディアを、IP によりリアルタイムに伝送するためのプロトコル
*2 RTCP (Real-Time Transport Control Protocol): RTPでデータを送受信するためのセッション制御プロトコル
*3 IETF (Internet Engineering Task Force): インターネット上で利用される各種プロトコルなどを標準化する組織
*4 RTCP-XR (extended report): 、RTP を利用したアプリケーションを管理するために、RTP の制御機能であるRTCP にレポート機能を拡張したもの