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- 2013年度 NTTグループ座談会 - 大規模災害に向けたNTTグループの災害対策の取り組み

NTTグループでは、甚大な被害をもたらした東日本大震災を教訓に、より強固な通信インフラの構築をめざし、さまざまな対策を推進しています。震災から2年半を経て、これまでの取り組みを振り返るとともに、今後の発生が想定される南海トラフ地震や首都圏直下型地震などを意識したグループ各社の取り組みや考え方について、東京大学の田中教授のご意見を伺いながら、各社の災害対策の責任者が語り合いました。

NTTグループの「災害対策に関わる基本方針」
NTTグループの「災害対策に関わる基本方針」

NTTグループ座談会 参加メンバー(部署・役職は2013年度当時)

田中 淳様

田中 淳様東京大学
総合防災情報研究センター長
教授

吉田 治生

吉田 治生NTT
技術企画部門
災害対策室 室長

久保田 伸

久保田 伸NTT東日本
NW事業推進本部 サービス運営部
災害対策室 室長

辻 裕司

辻 裕司NTT西日本
設備本部 サービスマネジメント部
災害対策室 室長

平良 聡

平良 聡NTTコミュニケーションズ
カスタマーサービス部
危機管理室 室長

山下 武志

山下 武志NTTドコモ
サービス運営部
災害対策室 室長


災害に強い通信インフラづくり向けて

暗渠交差部の盛土が沈下した部分。この地下部分に中継ケーブルが埋設されている

暗渠交差部の盛土が沈下した部分。この地下部分に中継ケーブルが埋設されている

基地局の大ゾーン化

基地局の大ゾーン化

吉田(NTT): NTTグループでは、東日本大震災の発生以前から「災害対策に関わる基本方針」のもと、「通信ネットワークの信頼性向上」「重要通信の確保」「通信サービスの早期復旧」を3本柱に大規模災害に備えてきました。また、3.11以降は、当時の教訓をもとに対策をいっそう強化しています。そこで、まずは田中先生に、これまでの取り組みに対する評価や課題についてご指摘いただければと思います。

田中: 阪神淡路大震災以降、通信インフラの災害対策は格段に強化されてきており、実は安心していたところがありました。3.11は、そうした思い込みを覆すほどの大きな被害をもたらしました。それだけに、通信の重要性が改めて認識されたように感じます。現在は、3.11の教訓を踏まえて対策をさらに強化しているとのことですが、液状化など地盤災害による通信ケーブルの寸断に対する対策はいかがでしょうか。

辻(NTT西日本): 2012年度から「防災3カ年計画」を掲げて災害に強い通信インフラづくりを進めており、その一環として、ご指摘の地盤災害対策にも取り組んでいます。ケーブルルートの内陸化や多ルート化とあわせて、沿岸部の浅い地層を通っている中継ラインのケーブル強化を進めています。とはいえ、非常に長大なものですので、リスクの高いところから実施すると同時に、もし断たれた場合はどうするか、迂回ルートの設定や無線通信による代替など、事前に対応策を検討し用意を進めています。

平良(NTTコミュニケーションズ): 地盤災害への対策でとくに重要なのが、ケーブルを橋梁に添架している場所と暗渠交差部など盛土している場所です。3.11では当社の中継ケーブルが2ヶ所で切断されましたが、原因は地盤のずれによって暗渠交差部の盛土が沈下したためでした。そこで、ケーブル管補修技術を適用して管路を強化する対策を進めています。

久保田(NTT東日本): 当社でも津波により流出した中継ケーブルの応急復旧として、仮設の架空ケーブルを敷設しました。また本格復旧としては、河川の下越しに管路を埋設してケーブルを通すなどの対策を施しました。しかし、すべての橋梁区間でこの対応を取るのは困難です。膨大な設備投資が必要ですし、地盤の強度確認や、橋梁を管理する自治体との調整など難しい部分がありますから。

田中: さまざまな対策が講じられているようですね。ただ、ケーブルなどのインフラが確保されても、電力がなければ動かすことができません。長時間の停電についてはどのような対策を考えられているのでしょうか。

山下(NTTドコモ): 当社では震災時に東北地方で約4,900局の基地局がストップしましたが、その8割が停電によるものでした。現在、その対策のひとつとして、1局で広範囲をカバーする「大ゾーン方式基地局」を全国104ヶ所に設置しており、この基地局には長期停電に備えて自家発電設備を設置しています。とはいえ、すべての地域をカバーするのは困難ですので、主要基地局でのバッテリー容量の拡大など、その他の対策とあわせて停電対策に取り組んでいます。

田中: 設備面だけを強化しようとしても無理があると思いますので、辻さんが言われたように、万一の際の対応策を、事前にどれだけ具体化しておくかが重要だと思います。

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お客さまとともに考える震災対策

河川の下越しに管路を新設し、中継ケーブルの敷設を行う

河川の下越しに管路を新設し、中継ケーブルの敷設を行う

保存水のラベルに表示された「171」のPR

保存水のラベルに表示された「171」のPR

田中: 災害対策で重要なのは「起きてはならない事態をどう防ぐか」であり、NTTグループにとっては「重要通信が確保されない事態」が挙げられます。しかし、いかにNTTグループが強靭な対策を推進して通信インフラを維持したとしても、利用者が通信手段を失ってしまえば意味がありません。企業や一般のお客さまに対する働きかけはどうされていますか?

辻: とくに地域の防災拠点となる自治体の通信を守ることが重要と考え、3.11以降、自治体向けに「防災」をキーワードにしたソリューション提案を強化しています。ビジネスの一環ではありますが、今後もお客さまとともに安全・安心な社会づくりに貢献していきたいですね。

平良: 当社は企業のお客さまが多いため、震災以降、BCPに関する問い合わせが非常に増えています。そのような話のなかで生まれたことなんですが、お客さまも一緒になった防災「演習」を実施しました。あえて「演習」と言っているのは、「訓練」から一歩進めて、よりリアルさを追求したいからです。例えば、事前にトラブル内容や発生のタイミングは告知していません。そうでなければ万一に備えた対応強化にならないからです。

田中: それは素晴らしい試みですね。ところで、一般のお客さまに対してはどうでしょうか。3.11の際には安否確認のための通話の輻そうによって携帯電話の通話不良が生じました。

山下: 輻そう対策は重要な課題ですが、いざという時には、まずは当社も提供している安否確認のための「伝言板サービス」をご利用いただきたいと考えています。また、震災後に、文字だけでなく、やはり肉声を伝えたいという声にお応えして、ご自身の音声で安否情報を登録いただき、指定先の携帯電話にお届けする「音声お届けサービス」も開発しました。災害時などでは音声通信より比較的つながりやすいパケット通信を利用したサービスですので、これらのサービスの認知度をさらに高めていくことが重要だと考えています。

田中: 伝言板などでの安否確認を勧める対策に加えて、NTT東西さんが特設公衆電話を増設することで輻そうを緩和できるといった、グループトータル、さらにはグループ外とも連携した対策が重要になってくると思いますが、そのあたりの取り組みはいかがでしょう?

久保田: 都内では帰宅難民者対策として、セブン&アイホールディングスとの協業により、23区内のセブンイレブンの店舗内に、Wi-Fiのアクセスポイントと特設公衆電話を設置し、とにかくコンビニに入れば連絡できるという体制をつくりました。安否確認とともに輻そう対策にもつながると考えており、今後は23区以外にも拡大していく方針です。

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広域災害時にはグループ内外との連携が重要

防災演習の様子

防災演習の様子

田中: 近い将来、南海トラフ地震や首都圏直下型地震などが高い確率で発生すると言われています。前者は広域性、後者は一極性という異なる性質がありますが、それぞれの波及力をどのように捉え、どんな対策に注力していますか?

山下: 南海トラフ地震などの広域災害においては、あまりに範囲が広すぎますので、どう優先順位をつけるかがポイントであり、同時に広域支援のあり方を検討する必要があります。一方で、直下型地震の場合、重要な装置については堅牢なビル内にあるため直接的な被害はなくとも、その後に電力をどう供給するかといった別の観点の対策が必要になります。

久保田: 広域災害からの復旧は、通信だけの問題ではありませんので、グループ各社が連携すると同時に、電気やガス、水道、鉄道や道路などのライフラインを担っている会社同士で話し合い、万一の際に何ができるかを事前に把握しておくことが有効だと思います。

吉田: 確かに、グループ外との連携も重要です。実際、災害対策基本法では私たち通信キャリアを含め、ライフラインを担う事業者が「指定公共機関」として定められおり、すでに指定機関同士での勉強会や、自治体などを通じた他の通信キャリアとの連携協議もスタートしています。

田中: 1社だけでできることには限りがありますので、例えば通信キャリア同士で、あるいは業界をまたいで互いのBCPに必要なものを融通し合うことなど、社会全体で取り組んでいく必要があります。NTTグループがそうした連携の軸になっていただくことを期待しています。

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災害対策で求められる姿勢とは

2012年7月に発生した九州北部豪雨災害時の通信サービス復旧の様子

2012年7月に発生した九州北部豪雨災害時の通信サービス復旧の様子

通信ビルの水防対策のひとつで、壁と扉の強度を強くし、気密性アップ

通信ビルの水防対策のひとつで、壁と扉の強度を強くし、気密性アップ

田中: 私は以前、あるライフラインの担当者からうかがった「細部に悪魔が宿る」という言葉が強く印象に残っています。これは、災害対策において、いかに事前に細部まで見通せるかが重要だということだと考えています。こうした視点を踏まえて、皆さんから今後の災害対策を進めるうえでの考え方をお聞かせください。

久保田: 当社では、今後、起こりうる災害を想定し、通信の孤立を回避するための災害対策機器の充実や通信ネットワークの強靭化対策など、ハード面での対策を講じてきました。それらを実際に運用し、コントロールするためには、しっかりと検証し、それを繰り返すという姿勢が欠かせません。そのため、日頃からの訓練やルールづくりといったソフト面での対応を重視しています。

山下: 当社でも、南海トラフ地震ではどのような被害が出るか、など綿密な想定のもとに対策を進めていますが、それがベストなものか、絶えず検証し続けることが必要だと思っています。図面だけで考えるのでなく、実際に現地に行って確認するなど、現実をしっかりと見据えていきたいですね。

辻: 災害時には、お客さまが今、何を求めているのか、時代や状況の変化に対応できているかが強く問われます。当社ではまず「電話」という対応が染みついていますが、私たちが担っている通信インフラは、電話線だけではなく、企業の専用線やインターネットなどへと広がっていますので、そのなかで何を優先すべきかを考えなければなりません。

田中: 人命が最優先なのはもちろんですが、安否確認ができたあと、次に何が必要か、ということですね。

辻: はい。例えば私自身、2年前に和歌山で設備の業務に従事していた時に大水害を経験しましたが、現地の方に言われたのが「銀行のATMをもっと早く使えるようにしてほしかった」ということでした。重要な通信サービスについて事前にしっかりと考えておくとともに、初動以降、現地の被災状況やお客さまのニーズを刻々と把握しながら復旧を進めていければと思います。

平良: 当社は国際通信の担い手として、日本を海外の視点から孤立させない責任があると感じています。そのためには、関門交換機など海外との通信設備を災害から守るのはもちろんですが、個々の「点(設備)」を強くするのでなく、「面(ネットワーク)」で対応することが重要だと考えています。例えば、ある関門局が津波でさらわれた場合、その復旧にこだわるより、別の関門局経由で通信できるようにすれば、より速やかなサービス復旧が可能です。

田中: 「設備復旧」よりも「サービス復旧」を優先する考え方は、とても重要ですね。NTTグループが守るべきサービスは何かと言えば、それは「通信」にほかなりません。私自身がそうですが、現代人にとって「3日間、通信圏外にいる」という事態は相当のストレスですので、通信サービスのBCPというものを、社会全体で描いていくべきです。

吉田: 通信は現代人の生活に必要不可欠なものですので、社会的影響力の大きさを踏まえて、どう対応するかが問われます。我々はいざという時にどうすべきか、オールNTTでの対応、そしてユーザーも含めたトータルな対応、さらには国や自治体、同業他社を含めた社会インフラを支える企業などとどう連携するかなど、さまざまな面から考える必要があります。先生が「細部に悪魔が宿る」とおっしゃられたように、災害対策というものはファジーな部分があってはならないもの。いかに細部まで詰めておくか、しっかりとした検証が必要です。「私たちが日本の通信を守るんだ」という気概をもって、今後も取り組んでいきたいと思います。

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