News Letter
金ナノロッドと機能性分子との複合体を用いた
ナノバイオセンシング材料
■金は金でも・・・「ナノの世界の不思議」
「金」はナノの世界では、何色でしょう?
その答えは、七色です。球状の金ナノ微粒子は鮮やかな赤色を呈し、古来より教会のステンドグラスや江戸切子などの着色材に使用されてきました。この色は、金ナノ微粒子の局在表面プラズモン共鳴による光吸収特性に由来します。最近、この光特性は妊娠検査キット、糖尿病検査キット、感染症判定剤などのバイオセンシング材料に幅広く活用されています。
では、球を棒状にすると・・・棒の構造アスペクト比(長軸/短軸の比)に応じて、可視〜近赤外領域まで自在に(七色に!)金ナノ微粒子の吸収波長を調節することが可能になります。(図1)
今回、物性科学基礎研究所では、棒状の金ナノ微粒子である「金ナノロッド」に、機能性分子を修飾した2種類のナノバイオ複合材料を合成しました。分子特有の特性と、金ナノロッドの特性を融合して新たな機能をナノ材料に付与し、1分子レベルの超高感度バイオセンシングにむけた基盤材料やナノ集積化技術を確立しました。
図1 金ナノ微粒子の構造と吸収波長変化
■(1)イオンを検出、(2)ナノの積み木
1つめの複合体は、金ナノロッド表面に“クラウンエーテル分子”を修飾したナノ材料です。この材料は、私たち生体に不可欠なナトリウムやカリウムなどのイオンを選択的に検出・定量することができます。(図2)その検出感度は、金ナノロッドを光プローブに用いることで、従来のイオン電極法に比べ1000倍以上の感度向上が認められました。 2つめは、私たちの細胞膜を構成する“脂質分子”を金ナノロッド表面に修飾した複合体です。脂質分子は特異な自己集合力をもつため、元来操ることが困難なナノ粒子を、生体の原理を使って簡単に配列させることができます。実際、基板表面の組成や乾燥条件を制御して、金ナノロッド複合体の1次元、2次元(水平、垂直)配列化を実現し、ナノの積み木を自在に組み立てることに成功しました。(図3)その粒子間距離は5 nmの完全な等間隔です。この金ナノロッドアレイ化技術は、プラズモン表面増強効果を利用した超高感度バイオチップ開発へむけた技術要素として期待できます。図2 金ナノロッド複合体のイオンセンシング機構
図3 金ナノロッド複合体のアレイ化構造
研究部門 :物性科学基礎研究所 機能物質科学研究部
参考資料 :H. Nakashima et al., Chem. Commun. 1080 (2007).
H. Nakashima et al., Langmuir 24, 5654 (2008).
お問い合わせ先:先端技術総合研究所 企画部 情報戦略担当
http://www.ntt.co.jp/sclab/contact/
2009(平成21)年2月26日 NTT先端技術総合研究所