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存在を感じさせない「透ける電池」の基本動作を確認 ―― IoTのさらなる可能性拡大に向けて

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NTTは、存在を意識させることなく周囲に馴染む電池として、光透過性を有する「透ける電池」を作製し、電池動作を確認しました。NTTでは、ICTサービスの実現に向けた蓄電池をはじめとする電池に関する研究開発の技術・知見を活かし、本研究開発を進めています。今後は、IoT(Internet of Things)のさらなる可能性を拡げるために「透ける電池」を適用できる領域を探索するとともに、性能向上を図ります。

研究の背景

あらゆるものがデバイス化し、ネットワークに接続されているIoTの普及が進んでいます。今後、さらにIoTが普及することで、利便性が向上する一方で、世の中にさまざまなデバイスが溢れ、デバイスの存在感が増し煩わしさを感じる可能性も考えられます。そこで、デバイスの存在感を抑えるために、これまでは“小型化”“軽量化”などの取り組みが進められています。
NTTでは、これまで、安心・安全・高信頼な情報流通サービスを提供するため、スマートフォンなどで長時間使用できるように、また、災害時の長時間停電時でも安定に電力を供給できるエネルギー源として使用できるように研究開発を行ってきた蓄電池に関する技術・知見を活かし、これらに加えて新たな観点として“透ける・透明”に着目し、存在を感じさせないデバイス作製の可能性を探索するために、光の透過性を訴求した電池の研究開発を行ってきました。

研究の成果

これまでの電池の研究開発は、EV、スマートフォン、ドローン等への適用を指向し、高出力で長持ちする電池を実現するために、より大きな容量、より長い寿命、より高い安全性をめざし、設計されてきました。そのため、従来電池の電極は、金属の集電層上に活物質、導電材、結着剤が混合された合材層が形成され、全体的に黒色で光を透過しない構造が一般的でした。
今回、光透過性の観点で電池を構成する材料と構造に着目し、入射光の吸収と反射を抑制する技術開発を行い、存在感なく周囲に馴染むデバイスをめざしました。

開発した電池は一辺が9×5cmの長方形です(左)。動作確認として、本電池を市販LEDに接続したところ、5分間の点灯を確認しています(図右)。
具体的な性能として、本電池の光透過特性を分光光度計により評価したところ、平均約25%の透過率を有していることを確認しました。この透過率は、向こう側が透けて見える一般的なサングラスの透過率に相当します。また、本電池の充放電性能を評価したところ、平均電池電圧1.7 V、放電容量0.03 mAh(電流密度0.01 mA/cm2)を示すことを確認しました。この容量は、一般家庭にある掃き出し窓約1.5個分のサイズで市販のコイン電池CR1025の容量に相当します。さらに、本電池は充放電可能な二次電池として動作すること、および充放電を100回繰り返した後でもLED点灯が可能であることを確認しています。

図 開発した透けて曲がる電池とLED点灯の様子

図 開発した透けて曲がる電池とLED点灯の様子

◆問い合わせ先
 NTT先端技術総合研究所
  広報担当
  TEL 046-240-5157
  E-mail science_coretech-pr-mlhco.ntt.co.jp
  URL https://www.ntt.co.jp/news2018/1811/181126c.html

研究者紹介

電池材料技術による新たな価値「透ける電池」

阪本 周平

NTT先端集積デバイス研究所
研究員

阪本周平

近年、スマートフォン、スマートスピーカーをはじめとするさまざまな家電がネットにつながるようになり、急速にIoT化が進んでいます。将来、多くのデバイスを身に付けたり、建材に機能を持たせてデバイス化されることを想定し、存在を意識させることなく周囲に馴染むデバイスが必要だと考えています。我々はこれまでにニッケル水素電池やリチウムイオン電池をはじめ、次世代型二次電池であるリチウム空気二次電池に関する電池材料技術の研究開発に取り組んできました。そこで、電池材料技術を用いて「透ける」というソリューションで前記デバイスの実現に貢献することをめざしました。
これまでの電池材料研究は、容量、出力、寿命、安全性という観点での材料開発が主でしたが、今回は、光透過性、フレキシブルという新たな観点で材料を選定し、電池構造を制御することで「透ける電池」を実現しました。透ける電池という概念を提案し、近年研究開発が進められているさまざまな透明デバイスとの組み合わせによりデバイス開発がより活発に行われることを期待しています。
今回このような電池を実現できたのは、電池材料技術の基盤技術の向上に努めていることに加え、これまで注目していなかった新たな切り口で材料研究を進められたためだと考えています。これからも、電池材料技術を通して既成概念にとらわれず、新しい価値の創出にチャレンジし続けていきたいと思っています。

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