グループ企業探訪 第219回 NTTマーケティングアクト株式会社

クライアント様に付加価値を提供するコンタクトセンタ業務アウトソーサ企業

PDFダウンロードPDFダウンロード

NTTマーケティングアクト 横山桂子社長
NTTマーケティングアクト 横山 桂子社長

NTTマーケティングアクトは、NTT西日本の116センタや104センタ等のコンタクトセンタを中心に、多くのクライアント様に高品質で付加価値のあるコンタクトセンタ業務を提供している。「コンタクトセンター・アワード2019」において4冠受賞を果たした、コンタクトセンタの高度化とクライアント様に提供する付加価値について、横山桂子社長に話を伺った。

コンタクトセンタ業務のトップランナー「コンタクトセンター・アワード2019」で4冠受賞

設立の背景と事業概要について教えてください。

NTTマーケティングアクトは、NTT西日本の104サービス(電話番号案内)、116サービス(申し込み受付)をはじめとするコールセンタをベースとした、コンシューマを中心とした営業を担う会社として2002年に設立されました。設立当初は本社機能をNTTマーケティングアクトに配置し、地区ごとに16の業務運営会社を配置していましたが、2007年にNTTマーケティングアクトとして1つになりました。
事業は、コンタクトセンタ業務等のBPO(Business Process Outsourcing)をコアとして、それに付随するかたちでコンタクトセンタ構築支援やコンサルティング、人材育成といった部分まで、コンタクトセンタにかかわる一切合切の業務を行っております。1兆円超規模、そのうちの約8割が上位50社で占められているコールセンタ業界(『2015年度 テレマーケティング・アウトソーシング企業 実態調査』一般社団法人日本コールセンター協会より)において、5本の指に入る規模で、西日本を中心に39拠点に合計6600席のセンタを擁しています。
当社はNTT西日本グループの会社であり、NTT西日本からの業務委託が中心となり、その代表的なものとして、116コールセンタ業務、IPコールセンタ業務、代理店コンサルティング業務の運営があります。電話のお問合せ・お申込みからインターネットのご相談・お申込みまで「NTT西日本の顔」として、お客さまからのご要望におこたえしています。また、104電話番号案内サービスのセンタにおいては24時間365日の体制で、お客さまとのコミュニケーションを通じて、「正確・迅速・丁寧」をモットーにご案内しています。
これらの業務を通して蓄積してきたノウハウをベースとして、NTT西日本以外からもコンタクトセンタ業務の受託やチャットボット等のシステム提供等を行っており、2019年9月には、お客さまとの応対ログや各種ドキュメントを収集・分析してFAQ作成を行う、「FAQコンサルティングサービス」もマンション管理業務向けのセンタで開始しました。
こうした業務を行う当社のコンタクトセンタの1つである、「MiraiZ松山」が、2019年11月に、コンタクトセンタを運営する企業各社の相互研鑽を図るとともに、優れた業務改善の取り組みと成果を決定する業界最大の表彰制度の1つである、「コンタクトセンター・アワード2019」において「オフィス環境賞」を受賞しました。「MiraiZ松山」は先に受賞済みのセンター表彰部門「テクノロジー賞」、コンタクトセンタ業界の年度MVPとして、オペレーション分野の個人賞である「リーダー・オフ・ザ・イヤー」、マネジメント分野の個人賞である「マネジメント・オブ・ザ・イヤー」と合わせて、史上初の4冠受賞を果たしました。

働きやすさに特化した事業環境を構築
快適な環境が付加価値を生み出す

事業環境はいかがでしょうか。

昨今、さまざまな業界で人手不足といわれており、それに対応するためのアウトソースといった傾向が出てきており、コンタクトセンタ業務もその流れを受けて、増収基調にあります。一方で、この業界(コンタクトセンタ業界)自身も人材とスキルの確保が大きな課題となっています。
コンタクトセンタの業務は、労働集約型的な部分が多いのですが、人手に頼るばかりではなく、AI(人工知能)を活用し、人とAIの共存を図ることでこうした課題対応に取り組んでいます。かかってきた電話を音声認識と連動したIVR(自動音声応答)により最適な受付席へつなぐといったことや、受付応答支援システムの導入等は広く普及してきていますが、FAQの自動生成やチャットボットの活用等当社独自に推進しているものもあり、当社内における利用のみならず、例えばチャットボットについては30社以上におよぶクライアント様において導入実績があります。
さらに、シームレスなマルチチャネル化も「MiraiZ松山」では実施しています。お客さまからの問合せ等を最初はチャットボットで行い、そこで対応できない場合は有人チャット、さらにはチャットと同じオペレータによる電話応対へと、応対がシームレスにつながっていきます。これにより、お客さまにとっては、チャネルが変わるたびに問合せ内容を最初から説明し直す、といった煩わしさから解放されます。これらの取り組みにより、単なる業務効率化のみならず、付加価値向上にもつながっており、株式会社バッファロー様をはじめ多くのクライアント様に評価していただいています。
そして、人とAIの共存のほかに、離職対策も重要です。人材不足の中、せっかく採用した人材が離職すると教育等により向上させたスキルがレベルダウンしてしまいます。一般には職場環境の整備をはじめとしたES(Employee Satisfaction)向上で対応するのですが、当社の場合はさらにセンタごとに「MiraiZ松山」のような名称とロゴを複数考えてもらい、それをセンタのメンバ全体の投票で決めるといったことをやっています。これにより、「自分たちのセンタ」という能動的な意識が出てきています。現在、松山のほかに、「Monolith熊本」、「AiLE池袋」と3カ所でセンタのニックネームがついており、今後拡大していきます。こうした取り組みにより、例えば池袋の離職率がセンタ開設以来0%(2019年11月現在)といったように、業界内でもかなり低い離職率をキープしております。

貴社の雰囲気はいかがでしょうか。

総じて、お客さま思考がとても高いと思います。CX(Customer Experience)という言葉が世の中に出てくる以前から、お客さまのために何かしたいという思いが強い人たちが集まってきています。お客さまから怒られるのが仕事的な部分も一部にはあるので、意外とコンタクトセンタのコミュニケータは大変です。そういう感情労働がしっかりできる方たちというのは、お客さまのためにという思いがとても強い人たちで、こういった方々がたくさんいる会社ではないかなと思います。

今後の展開について教えてください。

当社が運用するコンタクトセンタにおいては、マルチチャネル化、問合せ受付のシームレス化、AIを活用した音声認識のセンタ運営への展開、VOC(Voice Of Customer)分析とそれに基づく経営等へのフィードバック、チャットソリューション、FAQ分析と自動生成等のノウハウ蓄積や仕組みが整ってきており、さらなる高度化も進めています。
クライアント様のコンタクトセンタ業務を受託ということで、単に業務の肩代わりをするだけではなく、これらを活用してクライアント様の課題解決に向けたコンサルティングや課題解決そのものに寄与できるような付加価値も提供できる環境が整ってきています。
とりわけ、VOCの分析結果を企業戦略や施策立案に活かしてCX向上を図る、「CXコンサルティングサービス」は非常に大きな付加価値となると考え、 2019年度をCX元年と位置付けて、CXを高めていくことを最終ゴールとしたCXオンクレドを推進していきます。「クレドパーサ」という核要員を中心に、NTT西日本はもちろん、それ以外のクライアント様に対しても各地へ広く展開していくつもりです。そして、2025年度には2018年度比で2倍となるNTT西日本グループ外売上をめざしていきます。

担当者に聞く

多様なデータ蓄積・解析はクライアント様への付加価値の源泉

カスタマーソリューション事業推進部
企画部門 ビジネスプラットフォーム担当
担当課長 米林 敏幸さん

米林敏幸さん

米林 敏幸さん

担当されている業務について教えてください。

コンタクトセンタ業務のBPOビジネスの拡大に向けた戦略立案、事業開発、プロモーションからローンチユーザの獲得まで、一連の業務を担当しています。
当社のコンタクトセンタでは、AI、音声認識等の新しい技術が導入されてきており、また、センタ運用にかかわる効率化、高品質化等に関するノウハウや、例えば「CXコンサルティングサービス」のようにセンタにおいて蓄積された各種データを分析して活用するサービス等、クライアント様に付加価値を提供する基盤やサービスがあります。このような基盤やコンサルティングを含むサービスを商材として開発し、クライアント様からのコンタクトセンタ運用のBPOにアドオンすることで、これらの付加価値を提供しています。これらの商材について、当社コンタクトセンタにおける活用事例やその付加価値を、Webや外部機関による各種表彰の場においてプレゼンテーション等でアピールしていくことで、新たな商材そのものや付加価値のあるBPOの拡販を図っています。
さて、ここで言う商材について、例えばAIによる音声認識ではNTTテクノクロスの「Foresight Voice Mining®」という製品がありますが、コンタクトセンタにおける実際の音声認識技術の導入にあたっては、クライアント様の利用シーンや目的に応じてニーズが多様であるため、それに応じて最適なソリューションを提供していく必要があり、「Foresight Voice Mining®」に限らずマルチベンダで対応しています。また、SIとしてシステム提供する場合を考えると、システム導入に際してクライアント様自らが運用を設計し、そのうえでチューニングが必要となる場合はその都度コストが発生することになります。一方、当社の場合はコンタクトセンタ業務のBPOとして対応しており、すでにこれらの技術・機能は基盤の中に組み込まれているので、必要なものを選択したうえで、蓄積されてきたノウハウを活用し、クライアント様のニーズに合わせるかたちで運用に供することができます。さらに、こうした運用を重ねていくことで多くのノウハウや、音声認識におけるコーパス(会話文等の文章を構造化、分析したデータベース)が蓄積され、それをフィードバックしていくことで、センタ運用や音声認識のクオリティを高めていくことになり、1つの良い循環が出来上がってきます。
また、運用を通して集まった会話データを分析することで、オペレータやスーパバイザの応対支援や人材育成への活用、FAQ自動生成や、「CXコンサルティングサービス」のようにクライアント様の戦略立案への活用といったかたちで、新しい商材につながる等、別の良い循環も生まれてきます。
そしてこれらの商材がBPOのスキームの中に組み込まれて提供され、拡大していくことでさらに新たなノウハウやデータが蓄積されることになり、ビジネスモデル自身もさらにブラッシュアップされていきます。

ご苦労されている点を伺えますか。

コンタクトセンタ業務のBPOを拡大していくうえで、業務効率化や新しい商材を開発していくことが重要であることはお話ししたとおりなのですが、そのために新しい技術やシステムを導入していく必要があります。また、クライアント様のニーズにマッチした運用をしていくためにも、新たなシステム開発やカスタマイズも必要になります。当社はコンシューマを中心とした営業の会社として設立された経緯もあり、こうした技術やシステムの導入、開発、カスタマイズ等にかかわるエンジニアが、どうしても手薄な状態です。これに対応するために、自ら勉強、育成してきてはいますが、なかなか思うようにはいきません。一方で、周りを見渡すとNTTグループには多くのエンジニア、ひいては研究者がいる、という非常に良い環境があります。そこで、NTTグループ企業との連携を模索する中で、音声認識をはじめとした新しい技術やシステムの導入において、 NTT西日本との連携が奏功しました。こうした連携をさらにシームレスに広めていき、新しい技術に当社の業務ノウハウを重ねていくことで新たなバリューを生み出すことができると思います。業界全体もエンジニアに関しては同様な傾向があるようなので、NTTグループのこの環境は当社に大きなパワーを与えてくれると思います。
クライアント様への付加価値という意味においては、データの分析も重要な要素であり、そのための専門家が必要となります。専門家としては、データサイエンティストもさることながら、まずはデータアナリストが必要です。特にVOCのデータの蓄積量は多く、分析結果は「CXコンサルティングサービス」のみならず多方面で活用できるため、データアナリストを集めてVOCデータ分析のチームをつくりました。また、Webデータの分析も行っているのですが、こちらについてはパートナーとの連携で行っています。

今後の展望について教えてください。

これまでお話ししてきた新たなビジネススキームによる、コンタクトセンタ業務BPOの展開を推進していきたいと考えておりますが、まだまだ緒に就いたばかりというのが現状で、売上規模からすると当社の売上との比較で2桁少ないといったところです。ただ、こうしたサービスへのクライアント様のニーズが高いことは分かっているので、プロフィットを訴求して、新たな大口のBPO案件につなげていきたいと考えています。
同時に、付加価値等を訴求していくためにもデータの蓄積、分析が大きな意味を持ってくるので、これを拡充していきます。すでに一部のデータ分析についてはかなりハイレベルになってきており、多様なデータを組み合わせた分析に対するニーズも顕在化してきています。こうしたクライアント様の期待にこたえていきたいと思います。ただ、データの分析結果を必要としているのは必ずしもコンタクトセンタ関連部門ではないため、アカウント制も含めた新たな営業体制も検討していかなければなりません。

NTTマーケティングアクト ア・ラ・カルト

オフィス環境賞2019を受賞

コンタクトセンタのスタッフが快適に過ごせる職場環境づくりに注力しているそうです。「コンタクトセンター・アワード2019 オフィス環境賞」を受賞した「MiraiZ松山」では、スーパバイザ等がフロア全体を見渡せる作業環境や、休憩スポットには携帯電話等の充電設備、Wi-Fiを完備し、スタッフの方々が休憩時間にしっかりくつろげる場所をつくっています(写真1、2)。このほかにも、経済産業省の健康経営優良法人認定である「ホワイト500」の認定、厚生労働省の子育て支援に積極的に取り組む企業認定制度である「くるみん」の認定、さらに女性活躍リーディングカンパニーも認定をいただいているそうで、スタッフにやさしい職場づくり、環境の維持につとめていくとのことでした。

写真1

写真1

写真2

写真2

ページトップへ