Focus on the News

光ファイバで伝送する微小エネルギーを有効利用して災害時の通信を確保する研究に着手

PDFダウンロードPDFダウンロード

NTTは、近年増加傾向にある大規模自然災害に対する通信ネットワークのレジリエンス向上をめざし、光ファイバで伝送する微小エネルギー等を有効利用して災害時の通信を確保する研究に着手しました。

背景および目的

近年、直下型地震や大型で強い台風の頻発により、広域かつ長時間にわたる停電が発生し、復旧まで時間を要する深刻な事態が続発しています。
災害発生時には、被災地域における安否確認など、連絡手段の確保が重要となります。メタル線による公衆交換電話網では、通信ビルから音声通信用の電力をユーザ宅へ供給する局給電によって停電時にも電話することが可能でした。しかしながら光ファイバによる通信ネットワークでは、音声もデータに変換され他の大量の通信データとともに扱われており、消費電力が過去に比べて増大したことから通信装置を動作させるにはユーザ宅の商用電源を用いる必要があります。そのため、停電時は非常用電源(非常用発電装置や無停電電源装置など)の用意がないユーザ宅では通信装置が利用できない状況となります。また、スマートフォンなどの蓄電池を内蔵するユーザ端末も電池残量がなくなると動作しなくなります。
こうした状況を改善するため、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の提供価値の1つとして、光ファイバを用いて停電時にもユーザ宅の通信装置が利用できる通信ネットワークを実現することをめざし、光ファイバを通信の伝達手段としてだけでなく微小エネルギーの伝送手段にも用いる技術を研究します()。

図 構成イメージ

図 構成イメージ

今後の取り組み

通信用の光ファイバで伝送できる光パワーおよび光・電力変換で取り出せる電力は限られているため、通信ビルから供給する電力のみでユーザ宅の通信装置を動作させるのは困難です。そこで本研究では、光ファイバで伝送する光エネルギーの高効率利用技術に加えて、通信装置の消費電力抑制技術、さらには熱や振動など他の微小エネルギーも取り扱うことのできる発電・蓄電・給電技術に関する検討を進めます。

◆問い合わせ先
 NTT広報室
  TEL 03-5205-5550
  E-mail ntt-cnr-mlhco.ntt.co.jp
  URL https://www.ntt.co.jp/news2019/1911/191111b.html

研究者紹介

人・街の活動と自然エネルギーの調和を実現する研究開発

香西 将樹

NTTネットワーク基盤技術研究所
環境基盤プロジェクト エネルギー最適化技術グループ
主任研究員

香西将樹

エネルギー研究はIOWNのかかげるスマートな世界をつくる11のテクノロジの1つであり、私たちは、いつでも、どこでも、誰でも、無駄なく安全にエネルギーを利用できる社会をめざしてエネルギーに関連する研究開発に幅広く取り組んでいます。
「いつでも、どこでも」とあるように、たとえ災害時においても通信を確保するという目的に対する1つの解決策として、光ファイバで伝送される微小エネルギーを有効活用するシステムを構築し、NTT R&Dフォーラムで展示しました。
NTT R&Dフォーラムでは主に災害対策にフォーカスした技術を紹介しましたが、不安定な再生可能エネルギーの主電源化やCO2排出量の大幅削減など、エネルギー領域における課題解決への社会的な要請は高まっており、その実現に向けて、エネルギーの地産地消を促進する次世代マイクログリッド技術や、電力事業と通信事業の複合的なデータ利用・アセット活用による全国規模の電力需給調整技術の確立に挑んでいます。
当グループは設立から1年にも満たない組織ですが、革新的な研究成果を創出するためにも、これまでNTTが取り組んできた高度なネットワーク基盤技術をエネルギー領域にも応用することで、他社が追随できない先端的領域を開拓し、エネルギーを賢く流通させるエネルギー最適化基盤を構築し、人・街の活動と自然の働きが調和した脱炭素社会の実現に貢献します。

ページトップへ