News Release


2001年7月23日

存在がさりげなく伝わる“つながり感通信”の実証実験を開始
─ 安心感・幸福感を得られる新しいコミュニケーションスタイルの提案 ─


 日本電信電話株式会社(以下NTT、東京都千代田区 代表取締役社長:宮津純一郎)とNTT西日本富山支店は共同で、‘つながり感通信’の実証実験を平成13年7月から富山県山田村を中心として開始します。
 ‘つながり感通信’とは、人の存在情報や環境情報などのように、コミュニケーションのメッセージとしては明示されない‘手がかり情報*’を常時通信し合うことで離れている相手が身近に感じられ、それによって安心感、幸福感の醸成が図られるという、NTT生活環境研究所が提案してきた概念です。この‘つながり感通信’は、日常生活において能動的なコミュニケーションをとる、あるいは実際に会うなどの行為に発展するきっかけとなることで、より豊かなライフスタイルを形成することに寄与するものとして研究が進められてきました。
 今回の実験では、離れて暮らしている家族を対象とし、各家庭に実験端末‘FamilyPlanter’を設置して日常生活の中で実際に使用してもらいます。‘FamilyPlanter’は、その近くの人の存在情報を検知してネットワークを介して遠隔地にいる家族側の‘FamilyPlanter’に、光や動きとして伝えます。実験期間中に、インタビューやアンケート調査等、社会科学的アプローチによって、‘つながり感通信’の効果を検証すると同時に、システムとしての課題の抽出を行います。


○ 背景とこれまでの経緯
 私たちは、家族、地域、学校・会社などさまざまなコミュニティに属しており、その中で、私たちの生活は、個人と個人を取り巻く周りの人々との関係で成立しています。しかし近年、情報機器によるネットワーク化が進み、その上でのさまざまなバーチャルな関係が主体となったり、あるいは物理的な人口流出等でコミュニティへの帰属意識が薄らいだりすることなどによって個人の孤立化やコミュニティの崩壊といった問題が表面化してきています。
 コミュニティの中で、通常最も基本となる ‘家族’でも、仕事や学校等の理由から構成員が離ればなれとなって暮らすケースが増加しています。インタビュー調査等によると、このような家族間では、(a)相手(家族)のことが気になる、(b)しかし、プライバシーは守られたい、(c)必要以上に家族に気を遣わせたくないといった思いがあることが報告されています。
 NTT生活環境研究所では、電話や電子メールなどのような積極的にコミュニケーションをとらない場合でも、プライバシーを守りながら常に遠隔地にいる家族の状況をお互い常に確認することができ、しかも(日常生活上)邪魔にならない情報の表現方法によって、あたかも同居しているような感覚を与える新しい双方向コミュニケーションスタイルである‘つながり感通信’を提案してきました。


○ 実験の概要
 富山県山田村の協力を得て7月下旬から約4か月間行う予定です。山田村とそこから離れて暮らしている家族(両親と息子(娘)夫婦等)の方々を対象とし、各家庭で実際の日常生活の中で実験端末を使用してもらいます。実験期間中、数回のインタビューによる調査、アンケート調査等を行い、その効果を評価していきます。具体的には、つながり感**に関連する幸福感、安心感や、電話、電子メール等の実際のコミュニケーション頻度などを実験端末設置時とその前後の期間にわたって調査を行い、つながり感通信の効果を検証すると共に、Quality of life (生活の質)に何がどのように影響を与えるか(つながり感の醸成、手がかり情報の内容等)についても調査します。
 実験システムとしては、ネットワークに接続された‘つながり感通信’端末(FamilyPlanter)に設置されたセンサが人の動きを感知し、その情報をサーバを介してあらかじめ設定された端末へ送ります。受信した端末側(遠隔地の家族)では、その情報によってモータの回転(動き)やLEDの発光として表示します(光ファイバが光り、回転します)。このように非明示的な情報(この場合、人の存在)を、意識することなく、生活環境に溶け込んだ形態で、常時双方向でやり取りすることで双方の存在を確認し合い、(家族間の)つながり感を醸成することを狙いとしています。また、端末に触ると、それに応じて相手側端末側で音がするなど、能動的な動作にも対応しており、コミュニケーションの意図を伝えることも可能としています。



*手がかり情報:明示的にコミュニケーションのメッセージとして示されていない(非明示的)情報で、コミュニケーションに利用され得る情報すべて。環境情報、他者の存在、社会的関係等。実際の対面コミュニケーションでは無意識のうちに伝達されているが、現在の遠隔コミュニケーションでは、まだ十分に考慮されていない。

**つながり感:(明示的にではなく)何となく相手の雰囲気や状態、感情などが伝わっていると感じること。その結果、親しい人との間の関係を維持させるのに役立つと期待される。



つながり感通信実験端末とシステム




<本件に関する問い合わせ先>
NTT 先端技術総合研究所 企画部
相原、活田、甕、佐々木
Tel: 046-240-5152
E-mail: st-josen@tamail.rdc.ntt.co.jp



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