日本電信電話株式会社(以下NTT、東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)と株式会社セガ(以下セガ、東京都大田区、代表取締役社長兼COO:小口久雄)は、実世界に存在する平面パターン(商標、看板、ポスター等)や立体物(商品等)に対してハイパーリンク機能(※1)を付与し、ネット上のさまざまなサービスと連携できるNTT研究所のオブジェクト認識技術を活用した共同実験を本日より実施いたします。
今回活用するオブジェクト認識技術は、NTTサイバースペース研究所で研究開発を進めてきた技術です。今回の実験において平面パターンだけでなく、立体物に対しても本技術が有効であることを検証します。NTTは共同実験を通じて事業化に向けた技術検証を進め、セガは本技術を活用した新たなコンテンツの開発を検討してまいります。
なお、本共同実験は2005年12月20日から22日に開催される「NTTグループコミュニケーションEXPO」(東京国際フォーラム)ならびにOCNサイト《ケータイでゲット!》http://www.ocn.ne.jp/expo2005/ninshiki/ にて、一般の皆様にも体験していただくことができます。実世界の立体物をカメラ付き携帯電話で認識させ、ネット上のコンテンツと連携させるサービスを一般の皆様に体験していただく今回の取り組みは世界初となります。 |
1.実験の実施目的 |
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今回の実験に先立ち、NTTサイバースペース研究所とセガはゲーム・タイトル「サクラ大戦」を題材にしたスーパー歌謡ショウ「新・青い鳥」(2005年8月13日〜8月20日実施)において、入場者に配布されるチラシ、会場に掲示されるポスターといった印刷物を対象とした予備実験を行い、技術特性を検証してきました。 今回は、立体フィギュアなどを撮影対象とすることで立体物に対してもIDやバーコード、枠などを事前に付加せずにハイパーリンク機能を付与できる本技術の有効性・実用性を評価します。 |
2.実験の概要等 |
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(1) |
概要 |
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セガの「サクラ大戦」、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」、「甲虫王者ムシキング」の立体フィギュアやパソコン向けWebサイトのモニター画面に表示される平面画像をカメラ付き携帯電話で撮影することで「サクラ大戦ケイタイクラブ」、「ソニックカフェ」、「ムシキング.com」などの携帯電話専用サイトにアクセスできるサービスを実施します。(別紙1) |
(2) |
利用される技術のポイント |
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認識対象物に対する事前の加工が不要 |
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立体物が認識可能 |
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認識率が撮影環境に左右されにくい(照明変動・複雑背景・隠蔽への高耐性) |
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オブジェクト認識技術は、物体のあらゆる方向からの見え方を統計的に学習し、そのデータの特徴をオブジェクト辞書に登録、撮影した物体の画像データを切り出しの大きさや位置を変えながら辞書と比較し、対象とする物体を認識する技術です。特徴データの抽出や学習方法に改良を加えることで照明変化への対応、対象物の一部隠蔽、複雑な背景への対処など撮影環境に左右されにくい実用技術として開発してまいりました。(別紙2)
実世界の対象物にハイパーリンク機能を付与する技術としては、平面バーコードのようなコード技術や印刷物などにデータを埋め込む電子透かし技術、平面の対象物に対応した画像認識技術などがありますが、コード・パターンや撮影範囲を規定する枠を予め印刷しなければならないなどの制約がありました。これに対して本オブジェクト認識技術は、対象物そのものを事前に加工する必要がなく、さらに立体物を対象にできることが大きな強みになっております。 |
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3.具体的な利用シーン |
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実世界の対象物に手軽にハイパーリンク機能を付与し、ネット上のサービスとの連携を実現できる本技術は幅広い分野で活用できます。今回の実験のように、立体フィギュアに対して付加価値を与えるコンテンツ提供サービス、商品パッケージを撮影して応募すると景品がもらえる販売促進サービス、街頭のブランドマークを撮影するとその企業の情報が得られる情報提供サービスなど、生活空間のなかに存在するさまざまな平面/立体対象物がネット上の豊かなサービスの入り口になります。(別紙3) |
4.今後の展開 |
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本共同実験はNTTの研究成果をNTTグループ内外の企業と協力しながら事業化を推進する総合プロデュース機能(※2)を活用した取り組みです。NTTでは、実世界にある印刷物や造形物などのオブジェクトから、ネットワーク上の情報やサービスに結びつけ、あらゆる場所でさまざまなサービスを可能にしてゆくための実現技術として、本オブジェクト認識技術ならびに関連する静止画向け/動画向け電子透かし技術の本格的事業展開を推進していきます。また、セガでは、これらの技術を生かした新しいコンテンツ開発を検討してまいります。 |
<参考>一般の方向けの本技術の体験のご案内 |
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(1) |
NTTグループコミュニケーションEXPO |
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(2) |
OCNサイト《ケータイでゲット!》 |
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《用語解説》 |
※1 ハイパーリンク機能 |
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画面に表示されるコンテンツの一部をクリックすることで他のコンテンツにジャンプし、関連付ける機能のこと。本オブジェクト認識技術は実世界の物体をネットワーク上のコンテンツやサービスと関連づけることができる。 |
※2 総合プロデュース機能 |
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総合プロデュース機能とは、事業化の責任者として指名されたプロデューサがNTTグループ内外の企業と協力しながら、NTTグループの優れた研究開発成果の事業化を直接推進していく取り組みであり、2003年7月から開始いたしました。NTTは今後も総合プロデュース機能により、さまざまな研究開発成果を幅広く事業化推進していきます。 |