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                                 平成10年5月29日

       電話帳等古紙のリサイクル新素材を使った水質浄化実験を実施 
            −柏市と共同で手賀沼に実験水路を設置−

 NTTは千葉県柏市と共同で、柏市の手賀沼への流入河川にNTTが開発した古紙のリサイクル
新素材(マイクロポーラスマテリアル)を使用する実験水路を設置し、水質浄化に関する実用化
を目指した実験を本年秋から開始します。(図1)
 マイクロポーラスマテリアルは人工的なアルカリ鉱物で、高い陽イオン交換性   (*1)や吸着性
を持っており、水質浄化やガス吸着等に高い性能を有しています。(図2)
 NTTは、電話帳等の古紙のリサイクル段階で発生する製紙スラッジ(製紙かす)の焼却灰をア
ルカリ水溶液中で水熱反応させ、マイクロポーラスマテリアルに転換させることに成功しました。
 NTTではこのマイクロポーラスマテリアルの水質浄化用途への適用を目的として、これまで独自
に現地の水を採取して研究所内で実験を行い、マイクロポーラスマテリアルによって水質汚染の主
要な原因である窒素、リン等の富栄養分を50%以下除去できることを確認してきました。(図3)
 今回の手賀沼での実験では、マイクロポーラスマテリアルによる水質浄化の実用化に向けて水路
の形状やマイクロポーラスマテリアルの敷設法など、より具体的な評価を行っていく予定です。
 なお、NTTは手賀沼での実験に備えて、2トン/月のマイクロポーラスマテリアルを生成する製造装
置をNTTアクセス網研究所(茨城県つくば市)内に新たに設置しました。


<実験の背景>
 再生紙工場では精製段階において原料となる古紙の約30%が製紙スラッジとして排出されます。
製紙スラッジは、インクのにじみ止めのために、紙の繊維に添加される粘土類が主な成分です。古紙
のリサイクルが行われるようになるにつれ、その排出量は増加し、全国で年間約300万トン以上にな
っています。積極的な古紙のリサイクルは、紙資源の保護につながりますが、その一方で、製紙スラ
ッジの処分が新たな問題として浮上してきています。NTTでは、これまで古紙のリサイクル段階で発
生する製紙スラッジを通信用トンネル掘削工事の際に、泥土改良材として利用する等、製紙スラッジ
の再利用に関する技術の実用化を図ってきました。
 今回の水質浄化実験を行うこととなりました手賀沼は、柏市の東側にあります。この手賀沼は戦後
の干拓と昭和40年代以降の急激な都市化により生活排水が多量に流入して水質が悪化し、自治体や民
間団体がその浄化に努力されておりますが、20年以上連続して湖沼汚濁の全国ワーストワンにランク
されています。

<技術のポイント>
 今回、水質浄化実験に使用するマイクロポーラスマテリアルは、製紙スラッジの焼却灰を水熱反応に
よって微細孔(マイクロポーラス)をもつ粒状素材に転換したものです。このマイクロポーラスマテリ
アルは陽イオン交換性能が高いという特長をもち、活性炭の半分以下のコストで同等のイオン吸着能力
を実現します。湖沼や排水路等の浄化のほか、ガスの除去等にも有効な材料であると考えられています。

○水質浄化効果
 NTTではマイクロポーラスマテリアルを用いた研究所内の水質実験設備で、手賀沼に流入する河川の
一つである大津川の水を用いて浄化実験を行いました。その結果、水質汚濁の程度を示す代表的な指標
のひとつである化学的酸素要求量(*2) は水質改善前の12mg/lから、マイクロポーラスマテリアルに
透過させることにより2mg/lまで低下させることができました。この値は手賀沼の水質改善目標である
5mg/lを十分満たしています。また、富栄養化の原因である窒素やリンについても50%以下に浄化す
ることができました。
 さらに、浄化後、窒素、リン等のイオンを吸着したマイクロポーラスマテリアルは、土と混ぜ合わせ
ることで緑化用の客土(*3) として再々利用でき、トータルリサイクルを実現します。

○ガス吸着効果
 水質浄化以外の用途を想定し、空気中のガスの吸着効果を確かめるためのバナナを使った実験では、
果実の成熟ホルモンであるエチレンガスをマイクロポーラスマテリアルが吸着するため、1週間たっても
バナナの鮮度が保持されました。
 この実験はバナナを、マイクロポーラスマテリアルを漉き込んだ紙で包んで行いましたが、有害ガスの
除去効果とともに今後のマイクロポーラスマテリアルの適用形態への可能性も確認されました。
 またマイクロポーラスマテリアルは重金属を効率良く吸着するため、工場跡地などの土壌汚染対策等に
も有効です。さらに、セメントにマイクロポーラスマテリアルを数パーセント混ぜることによって酸性雨
に強いコンクリートをつくることも確認されています。同じように、このマイクロポーラスマテリアルを
使えば温泉地や埋め立て地など硫化水素の影響を受けるマンホールや下水道設備等のコンクリート劣化防
止も実現できます。

<今後の展開>
 NTTでは、マイクロポーラスマテリアルをさまざまな分野での環境保全に応用展開し、地球環境保護や
資源のリサイクル等循環型社会を構築するための研究開発を進めます。
 また、水質浄化用途では、建設省霞ヶ浦工事事務所(茨城県行方郡潮来町)と共同で霞ヶ浦においても
実験を行う予定です。



(*1)陽イオン交換性:
 AlとOの電気的アンバランスに基づく永久的負電荷が発生することによりいろいろな陽イオンを交換・
吸着させることができる。

(*2)化学的酸素要求量(COD:Chemical Oxygen Demand):
 水中の酸化されやすい物質により、純粋に化学的に消費される酸素要求量をいう。海や河川の汚れ具合
を示す数値で、水中の有機物など汚染源となる物質を酸化剤(過マンガン酸カリウム )で酸化するとき、
消費される酸素量をmg/lまたはppmで表す。数値が高いほど水中の汚染物質の量が多く、汚れの程度が高い。

(*3)緑化用客土:
 土質を良くするため、他から持ってきた土のことをいう。緑化用客土に要求される品質基準は、土の粒度、
透水性、pHのほか、腐植含有量、全窒素含有量など植物に必要な養分を有していることが求められる。





                                 




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