映像品質評価法

1.映像品質の主観評価法

1.5.代表的な主観評価法

(3) DCR法 (Degradation Category Rating)

ITU-T勧告P.910で規定されるDCR法では、図1.5.3に示すように、品質評価の基準となるレファレンス映像と評価映像を対にして評価者に提示し(共に10秒程度)、続く10秒程度の時間内に表1.5.2に示す5段階妨害尺度により評価を行います。品質評価の最初に必ずレファレンス映像を観視し、この映像品質を基準として続く評価映像の品質を評価することから、ACR法で見られる順序効果がある程度抑えられます。評価結果はACR法と同様に平均オピニオン評点で表しますが、ACR法で導出したMOSと区別するため、DMOS(Degradation MOS)と呼ばれることがあります。

DMOS評価では評価の比較対象が存在するため、ACR法に比べて劣化がより敏感に評価されます。そのため、比較的劣化が小さい評価対象系の評価ではACR法よりもDCR法の方が適していると言えます。ただし、DMOS評価では1つの評価対象の品質を評価するのに2つの映像の観視が必要なため、同じ条件数の評価値を得るためにはACR法の約2倍の時間を要します。DCR法では、DMOS=4.5を「検知限」、DMOS=3.5を「許容限」、DMOS=2.5を「我慢限」として品質の基準を与えることがあります。

なお、DCR法は、二重刺激妨害尺度法(DSIS法:Double Stimulus Impairment Scale Method)、もしくはEBU(European Broadcasting Union) 法とも呼ばれます。

図1.5.3 DCR評価の流れ
図1.5.3 DCR評価の流れ

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表1.5.2 5段階妨害尺度
評点 評定語
5 劣化が認められない(Imperceptible)
4 劣化が認められるが気にならない
(Perceptible, but not annoying)
3 劣化が認められ、わずかに気になる(Slightly annoying)
2 劣化が認められ、気になる(Annoying)
1 劣化が認められ、非常に気になる(Very annoying)